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お絵描きと妄想置場
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たまには毛色を変えて呟きより文章寄りで妄想を吐き出してみたり。
文字倉庫から発掘してきました。
絵だろうと文字だろうと、基本的に私の妄想は突然始まり突然終わるのです。まさにメモの域をでないのが悲しい…。

復活後のロスとサガでロスサガには至っていない関係…どころか…って感じです。
下に埋めておくので、良ければどうぞ。

拍手を下さいました方、ありがとうございます。
年末まで風邪から逃げ切ろうと思っていたのに、微妙に風邪が足首に掴みかかっている感じです。じゃまだ。
皆さんも気をつけてくださいね。

「つまり聖者たる君は情愛による愛欲を信じないと?」

そうつぶやきながらアイオロスはサガの肩に触れた。厚手の布上を滑り、アイオロスの指先がサガの胸部へと伸びる。その手をサガは弾いた。

「気安く触るな」

「気安く?」

そう意外そうにアイオロスは目を軽く見開くと緩く口元に笑みを浮かべる。

「気安く触れているように見える?」

鋭く睨むサガの瞳に対し、過ぎるほど穏やかな目を向けるとアイオロスはその場に膝を折り、そして頭を垂れた。サガの足指先に熱く柔らかい感触が走る。

「!なに馬鹿なことを」

「気安く触れていないよ」

心情を汲みかねるほど、真摯とも無表情ともとれるアイオロスのただ真っ直ぐな瞳に見上げられ、サガは堪らず視線を逸らした。
ゆらりと立ち上がったアイオロスは再びその指先をサガへと伸ばし、きつく閉じられた襟元を撫でる。サガの視界がアイオロスの影に入り、頬近くに自分以外の熱が迫るのを感じた。

「…やめろ…」

「…なるほど」

そうアイオロスは返事を返すと同時にサガの肩を強く押す。
サガは軽く多々良を踏み、その数歩後ろにある椅子へ座り込みそうになったがそれを堪えようと重心を前へ移動した瞬間、再び押しやられた。目的どおりサガを椅子へと落とすと、アイオロスは押さえ込むべくサガの腿にまたがる。

「…請われるより奪われるほうが好きなのか」

訊ねるというより、一人確認が口を衝いたようにアイオロスが呟く。
そして白く削がれたサガのおとがいを掴むと唇を寄せた。サガは首をひねりその唇をこばむ。

「…ああ…そうか…」

サガの耳朶近くでアイオロスが面白げに言葉を零すと一間を置いて吐息ほどの囁きをサガに放った。

「動くな。…俺からの命令だ」

サガの体が一瞬で強張った。
アイオロスはサガの手のひらが固く握りこまれたのを視界の端で見ていた。
舌先をサガの耳朶に伸ばし、窪みを探る。全身を強張らせ、サガが細かに震える。アイオロスが見るに、それは感触に耐えるというより怒りを押し殺して震えているに近い。
捕らえたままのおとがいの向きを曲げると、その唇端にゆっくりと口付けを落とす。固く閉じたサガの瞼が細かにさざめく。そこにも唇を落とす。全てはゆっくりと穏やかなアイオロスの動作。
が、アイオロスは捕らえていたおとがいから指を放すとサガの襟元に指をかけ、勢いままにその襟元を解き放った。
床に幾つかの止め具が跳ね転がっていく。解放されたサガの喉元が上下する。その喉元を指先で愛撫し、鎖骨を愛で胸元に手の平を滑らす。
そこでアイオロスは手を止めた。
固く目を閉じたままサガは抗いを押し殺しアイオロスの動向のままにいたのだが、不意に身体に押しかかっていた重さが無くなり、そこでようやく目を開いた。その僅かの間にアイオロスはもう踵を返して机に向かっている。

「月末に関する報告書を」

そう呟くと同時にアイオロスは自身の椅子に腰を下ろした。
そしてまるで何事も無かったかのように机上に詰まれた書類に目を通し始めている。
サガは怒りや苛立ち、そして羞恥を腹底に飲み込みながらアイオロスに求められた書類を渡すべく、立ち上がり自身の机へを足を進めた。

「…こちらに」

そういってアイオロスの横に立つと書類を差し出す。
その手首をアイオロスは掴みこむと強引に引寄せ、サガは目前の身体へ倒れこむのを阻むべく空いた腕を乱暴に机上へ叩き付けた。

「…君は本当に上手だな」

心情を削いでいたアイオロスの目が初めて感情を映してサガを睨んだ。

「なにがだ」

そう言ってサガは睨み返す。
アイオロスの視線がサガの肌蹴た胸部へと滑る。

「君は俺を挫くのに長けている。そんな君が俺の補佐なのだから可笑しな話だ」

暗い笑みを浮かばせながらアイオロスはそう呟くとサガを掴む手を解放し、

「その衣服の乱れはこの場に相応しくない。着替えて来い」

と告げると、あとはもうサガを見ようとしなかった。


サガの胸にはなぜか未だに消えない自害の傷跡が残っている。
復活した他の誰もが五体の不備なく、僅かな傷跡すら消え去っていたというのにサガだけはその胸に烙印を押し頂いていた。
アイオロスは先程触れたばかりの傷跡の、引きつれた肌理のない感触を思い出す。
どんな言葉や態度でその存在を請うても、また強引に奪おうとしても、のばす指の先には在るはずの物がもう無いのだと告げられている様だった。
アイオロスの愛したサガはもう居ない。
否応無くその事実を突きつけられ、アイオロスは静かに怒るほか悲しみを捕らえる術を持っていなかった。
そしてそれにも疲れ果てる。
なのに未だに心は幼い頃を懐かしみすぎ、あの頃と同じ面影を今のサガの中に探そうとしてしまうのだ。
何千と落胆に陥るのに。
終えれぬ恋ほど始末に悪いものは無いと、その度自嘲を零しながら。

 

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